2006(平成18)年11月。ついに富士電機システムズのフィルム型アモルファス太陽電池「FWAVE」の量産新工場が熊本県玉名郡南関町に完成した。そして、2007(平成19)年4月からは本格稼働が始まった。製品化されたことで、10年以上にわたった研究陣の苦労はようやく報われたといっていいはずだが、Tさんの顔にその感慨深さはなかった。「確かに本格的に生産が始まったことはこれまでで一番嬉しいことですが、これからまた新しいテーマが出てくると思いますし、太陽光発電(詳細→http://taiyokeikaku.co.jp/)システムを使いながら、もっとよくしていくには、もっとたくさんできるようにするにはどうしたらいいのかと、やらなければならないことはまだまだあります。ゴールに一回届けばある程度の達成感はありますが、実はゴールではなくて、一つ到達すると、次の新しいゴールが出てくる。ある意味でずっと悩んでいるのかもしれません」でも、時にはうまくいかなくて、落ち込むことだってあるだろう。「そう思うこともありますが、やはりどこかに解決策はあるのですね。思いもしないところに解決のきっかけがあったりとか。どん底にいながらも「なんとかなるんじゃないか」というか、「まあできないことはないんじゃないか」と思える人じゃないと研究開発者はできないのだと思いますよ。そういう意味では研究開発者は「楽観主義者」でなければやっていけないのですね」。そういうと、Tさんは笑いながら、後輩と顔を見合わせた。